顔面神経麻痺は、顔面神経が何らかの理由で障害されることにより、まぶたをしっかり閉じれない、片側の口が閉じれず飲んだお水がこぼれる、などの症状が現れる疾患です。顔面神経は、顔の筋肉を動かす神経で、表情を作ったり、会話をしたりする際に使われる筋肉を支配する神経です。
顔面神経麻痺は、末梢性麻痺と中枢性麻痺に大別されます。末梢性麻痺は全体の90%以上を占めると言われており、鍼灸施術を加えることで早期回復が期待できる疾患です。末梢性麻痺には、ベル麻痺やラムゼイハント症候群などがあります。
障害された末梢神経を回復させるためには、一日でも早い治療が望まれます。先に述べた通り、表情や会話に必要な筋肉を働かせる神経ですので、しっかり回復させなければ日常生活にも不便を感じることになります。
2023年5月に「顔面神経麻痺 診療ガイドライン」が改訂され、鍼灸治療が”弱い推奨”へと推奨度が上がりました(従来は、”推奨しない”でした)。顔面神経麻痺の急性期において回復を早めることができるか、その後遺症に対して効果があるか――という2つの観点で評価されたものです。現在の顔面神経麻痺の治療目標は、後遺症(病的共同運動)の予防と軽減です。したがって、急性期か回復期かによって鍼灸施術は異なってきます。
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